1000形はサービス向上と特急の8両編成化を進めるために1992年に登場した。当時並行する東海道線は国鉄分割民営化、オール二階建ての215系電車の導入など、従前にも増して強力なライバルとなっていた。そこで、横藤電鉄もさらなる接客レベルの向上を図ることで乗客の逸走を防ぐことが営業政策上強く求められたのである。そこで企画されたのが1000形であった。
本形式ではVVVFインバーター制御をはじめとし、様々な新機軸が盛り込まれている。車体こそ7000形に準じた正面デザインであるが、前面形状に後退角を設けスピード感を持たせた。また車体塗装についても、イメージアップのため実に36年ぶりに大幅に刷新され、以降の横藤電車の新しいカラーリングとして定着する。
車内に目を向けると、車両中間部に転換クロスシートが設けられた。当時は全車両オールロングシートという時代が続いていたが、特急専属車両として、東海道線の新型車両に対する目玉として、クロスシートの導入に至った。ラッシュピークの編成数の増強、横浜市営地下鉄線の戸塚延伸(1987年)による利用客のシフトといった状況の変化も、クロスシート復活に寄与したと言える。なお、2004年度より混雑緩和のために横浜方・平塚方先頭車の座席はオールロングシートに改造された。
本形式は当初7000形の増備として計画されていたが、主要機器や車体塗装が大幅に刷新されたことから、新形式名を与えられることとなった。それにあたっては、久しぶりのクロスシート車の復活ということから、先代への敬意も込めて「1000形II」を名乗ることとなった。
1000形は上記の通り、車内のほとんどがクロスシートのため、極力朝ラッシュ時のピークには運用されないよう配慮されている。そのため運用のほとんどは日中の特急となっている。
❏主要諸元
・登場年:1992年
・編成:8両編成
・車体:普通鋼
・設備:3扉・セミクロスシート
・制御方式:GTO素子VVVFインバータ制御
・制動装置:回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
・営業最高速度:110km/h
・起動加速度:3.3km/h/s
・減速度:4.0km/h/s(常用最大)4.5km/h/s(非常)
❏編成表(2020年現在)